坂井 禧夫/会話は心の処方箋。皆さんの居場所を提供したい

「話運家」を名乗る坂井禧夫の周りには、常に笑いが絶えない。口を開けばジョークが飛び出し、その話術はとにかく軽快だ。しかし、ただ明るいだけではない。会話をはじめとするコミュニケーションの考え方、MCを勤める「四富スクエアラジオ」に対する想いを聞いた。
職業は「話運家」。話すことは心の処方箋
ーー現在のお仕事について、教えてください。
いろんな肩書きがありますが、現在は「話運家」として活動しています。
ーー話運家、ですか?
私は、会話こそが、心の処方箋だと考えています。それに気づいてからは「話運家」として活動を始めたのです。
15歳から航空自衛隊に入隊し、10年間在籍しました。その後、退職後に身体を壊したことがきっかけで、治療という分野に強い興味を持ったのです。26歳から12年間インドネシアで暮らし、気功やヒーリングを学びました。38歳で地元の京都に戻り、気功治療院を開院。様々な患者さんに触れてきました。
治療家として活動する中で気づいたのは、会話こそが、心の処方箋だということです。
ーー詳しく教えてください。
「病は気から」という言葉もありますが、痛みや不調の原因は心にもあることが多いと、私は考えます。
とある患者さんで、こんな方がいらっしゃいました。その患者さんは首が痛くて通院された方です。何か思い当たることがないか聞いてみたところ、「枕を変えた」とのことでした。さらに聞いてみると、夫婦喧嘩で枕を投げ合ってしまい、枕が破れてしまったから枕を買い替えたと言うのです。つまり、元を辿れば夫婦喧嘩が首の痛みの原因とも言えます。夫婦喧嘩が起こる前に相手と話をしたり、不満や相談を周囲にできていれば、枕も破れず、首は痛くならなかったかもしれません。
これはちょっと極端な例ですが、多かれ少なかれ会話で痛みや不調を防ぐことができるケースもある、と気づきました。ですから、話すことは心の処方箋だ、と。私自身のキャラクター性も会話による治癒に向いているのだと思いました。これに気づいてからは、「おしゃべりで運気を上げる治療家」「話運家」と名乗っています。
話術だけがコミュニケーションのすべてではない

ーー話運家として活動される中で、発見はありましたか?
逆説的ですが、会話という手段だけが、想いを伝える方法ではないということに気づきました。
世の中には、お話するのが苦手な方だっている。そういう方は、どうやってご自身のことを伝えればよいのか、ということも考えるようになりました。そして、会話や話術だけがコミュニケーションのすべてではないことに気がついたのです。
ーー会話以外のコミュニケーションでは、どういった要素が重要でしょうか?
例えばビートたけしさんだって、別に活舌がいいわけではないですよね。でも、彼の話は面白いし、みんな彼の話を聞こうとします。それは、彼が表情などの別の要素で考えや想いを伝えているからだと私は思います。会話のスキルだけが、コミュニケーションを円滑にするわけではないのです。
表情が素敵な方は表情を、絵が描ける方は絵を。無理に話術を伸ばすのではなく、その人の素敵なところを伸ばすことが、コミュニケーション能力を高めることになると私は思います。会話という方法は、私にはたまたま適していただけです。
そういった経験や体験をともとに、私は話運家としてビジネスコミュニティを運営し始めました。そこでは、皆さんそれぞれに合った方法でコミュニケーション能力を高めてもらうお手伝いをしています。
ラジオはゲストの「心の居場所」

ーーラジオでご自身の番組を始めたきっかけを教えてください。
ビジネスコミュニティの運営を始めたすぐのころ、皆さん自分のことを話したがる状況でした。「こんな商品があります!」「うちの方が安いでしょ?」といったような自慢話のオンパレード。自慢話は、本人から直接教えられるとちょっと嫌気が差してしまいますよね。
でも、私を通じてその話を聞くと、皆さん喜んで聞いてくれることが多くて。「あそこの商品いいよ!」とか、「あの人面白い人だよ!」とか。つまり、第三者から聞けば、自慢話も喜ばれる話に変わることが結構あるのです。
そういった経験から、ラジオというスタイルを思いつきました。私がお話を聞いて、広めることができれば、ゲストにも皆さんにも良い結果になるのではないかと思ったのです。
また私自身、カラーや香りといった視覚や嗅覚で本来感じ取るものを言葉で想像させるのが下手ではありませんでした。こういったもろもろの条件から、ラジオでお伝えするのがピッタリなのではないか、と考えたのです。
ーーそんな番組も今年(2026年)で13年目を迎えています。
大変ありがたいことです。自分の番組をやってみて気づいたことなのですが、ファンがいるからラジオをやるのではなく、ラジオをやったからファンができたな、と思います。
ラジオを通して、発信することの大切さをより感じられました。
ーーご自身の番組で大事にされていることはなんでしょうか?
私の番組が、ゲストにとっての心の居場所になれれば嬉しいな、と思っています。ちょっと落ち着かないなと思っている時に気軽に行ける場所、ですね。お寺とか、神社の境内とか。人によっては病院やヘアサロンなどもそうかもしれません。
そういった落ち着く居場所のひとつとして、私のラジオを捉えてもらいたいです。ラジオという電波に乗せてお話することで、電波の向こう側に自分を認めてくれる人がいると思えると、沈んでいた気持ちも落ち着くと思うのですよね。これからも、そういう居場所であり続けられるように、頑張ります。
経歴
坂井禧夫(さかい・よしお)

1966年生まれ。京都府出身。話運家、治療家。ビジネスコミュニティ「四富スクエア」代表。
15歳から25歳まで航空自衛官として勤め、26歳から12年間インドネシアに滞在する。滞在期間中にヒーリング・気功治療などの治療の知識を得る。
38歳に地元京都に戻り、2008年に気功治療院を開業。治癒家として患者と接する中で、会話から心を治療できることに気づき「話運家」として活動を開始。現在はコミュニティ運営を手がけるなど多方面に活躍している。
2014年からは「FM79.7MHz 京都三条ラジオカフェ」にて「四富スクエアラジオ」のMCを務める。ゲストにとって「心の居場所」となるような番組作りを心がけている。
「四富スクエアラジオ」番組サイト
「FM79.7MHz 京都三条ラジオカフェ」公式サイト
取材日:2026年6月17日