髙橋 英樹/演者のための番組づくり。「日本一尖った放送局」を全国へ

「日本一尖った放送局」を、全国に60拠点展開するー。アズーリFM代表の髙橋英樹が掲げる目標だ。アズーリFM3局目となる「古都アズーリFM」の開局を目前に、意気込みを聞いた。
人の命を救うかもしれない。東日本大震災をきっかけに
ーー現在のお仕事について、教えてください。
インターネットテレビ局「アズーリFM」を運営しています。1局目の「鳥越アズーリFM」は2020年10月、続く「シャチホコアズーリFM」は2024年11月に開局しました。2026年11月には「古都アズーリFM」の開局が控えています。
ーーインターネットテレビ局を開局しようとしたきっかけはなんだったのでしょうか?
直接的なきっかけは、東日本大震災で千葉県での津波の被害を知ったことでした。皆さんは千葉県にも津波被害があったことをご存じでしょうか。液状化や地盤沈下などの被害はよく知られています。しかし、千葉にも津波被害があったことについては、あまり知られていません。僕も知人に教えてもらうまで知りませんでした。津波などによる死者・行方不明者が16名もいらっしゃるのです。多くの方が、地震発生後の午後3時頃、着の身着のまま避難しました。その後数時間経ち「せめて通帳や貴重品だけでも……」と家に戻ってしまったタイミングで津波が来て、被害にあわれたようです。このとき大手メディアの報道は福島県の原発や、東北の津波情報を取り上げていました。もちろんそれも重要な報道には間違いありません。しかし、地域ごとに必要な情報がほとんど届かない状態になっていたのです。
災害時、放送範囲が限定的であるコミュニティFMは、「防災ラジオ」の役割を担います。もし、このときコミュニティFMがあれば、地域に根差した防災情報が届けられたのに。そう思ったとき各地域に、コミュニティFMを立ち上げたいと思うようになりました。

ーーコミュニティFMの立ち上げに向けて、まずは何から始められたのでしょう。
たまたま、千葉の知人がコミュニティFMを立ち上げる人を探していると耳にしました。僕はすぐに手を挙げたのですが、断られてしまったのです。当時の僕はラジオの開局実績がありませんでしたから。芸能プロダクションをやってきた都合上、FMラジオをどう作ればいいか、仕組みは熟知していました。しかし、実績がない。ならば、実績を作ってしまえばいいじゃないか、と始めたのが、今の「鳥越アズーリFM」の始まりです。
僕自身、お試しで始めてみただけだったのですが、この事業こそが僕の人生の集大成になるのではないか、と思えるようになりました。
ーー集大成、ですか?
僕は、実はエンタメが大好きだった、ということです。自分が仕掛けたことに、皆さんがどう反応してくれるか。どんなおもしろいことをやって、皆さんを喜ばしてやろうか。振りかえってみると、そういうことが昔から好きだったのですよね。様々な事業を手がけましたが、根っこにあったのは「人を楽しませる仕掛け作り」だったと気づいたのです。
60代を前にコミュニティFM事業に着手できたのは、「これを髙橋英樹の集大成にすべきだ」ということだと思って、頑張っています。
徹底した演者ファースト。「日本一尖った放送局」

ーーアズーリFMの魅力とはなんでしょうか?
アズーリFMは「日本一尖った放送局」と銘打っています。
最も大きな特徴として、アズーリFMはスポンサー制度を設けていません。広告代理店も挟んでいない。番組ごとに番組のオーナーさんや演者さんがご自身で番組枠をご購入いただくスタイルをとっています。なので、番組はすべて演者さんがやりたいようにやってもらう、というのがアズーリFMのポリシーです。
ですから、演者の方は飲食しながらでもOK。過去には鉄板持ってきて焼きそば焼いて食べているパーソナリティの方もいらっしゃいました(笑)。それぐらい自由度が高い放送局です。演者ファーストで番組作りをしています。
ーーなぜそこまで演者ファーストを徹底されているのでしょう?
出資者が演者さんですから、番組は演者さんのものです。だから、演者さんに好き放題話してもらうべきだと僕は思っています。
昨今のメディアは「これを見てはいけない」「あれを聞いてはいけない」という判断を、メディア側でやりすぎているのではないか、と僕は思うのです。「見る・見ない」「よい・悪い」の判断は、視聴者側にもっと委ねるべきだと思います。メディアは流すものは流して、視聴者さんに判断してもらうというのが、本来のメディアのあり方ではないか、と。
ですから、アズーリFMでは、いわゆる放送禁止用語も設けていません。もちろん、放送された内容の責任は僕が持ちますが、それ以上に出演者が話したいことを話してもらうことを優先したいですね。
ーーそのほかの魅力について教えてください。
アズーリFMでは、どんな人でも芸能人気分で放送ができます。本番1時間前には控室も用意しますし、放送10分前にはドアをノックして「本番でーす!」とお声がけもさせていただいて。ちょっとした「芸能人ごっこ」ができるのも演者の皆さんには好評です。
また、どんな方でも演者になれるのも特徴です。過去にはこんな方もいらっしゃいました。おじいさんで、番組枠を買うから高校生のお孫さんに近況報告させてくれ、というのです。プライバシーの観点からご両親に反対され、実現はしなかったのですが。それぐらい自由な番組作りができます。
皆さんもぜひ、公共のネットワークを私利私欲のために活用してください。
全国60局に向けて。「古都アズーリFM」開局
ーーアズーリFMの今後の展望を教えてください。
私は、コミュニティFM事業を手がけたときから「日本全国にコミュニティFM局を60局つくる」という目標を掲げていました。
2026年11月11日は京都の三条商店街内に「古都アズーリFM」を開局します。「アズーリFM」3局目となる当局は、これまでの「鳥越アズーリFM」「シャチホコアズーリFM」で培ったノウハウを活かし、全国展開に向けたロールモデルとして開局する予定です。
ーー全国60局展開。ワクワクしますね。
その地域ごとに、面白い方はたくさんいらっしゃいます。そういった方を主役の番組を届けていきたい。
あなたの街の近くにも、アズーリFMは開局するかもしれません。ぜひ視聴者として、そして演者として、一緒にコミュニティFMを盛り上げていただければ嬉しいです。
経歴
髙橋英樹(たかはし ひでき)

1964年生まれ。京都府出身。株式会社アズーリ代表取締役社長。
東京、名古屋、京都を拠点に活動中。
高校卒業後、様々な職種を経験後、アパレル業に勤める関係で上京。紆余曲折しながらも、2013年、新宿で芸能プロダクション「アズーリ」を設立する。
東日本大震災を経て、防災ラジオとも呼ばれるコミュニティFMの重要性に気づき、放送局を立ち上げることを決意。
2020年10月、「日本一尖った放送局」として東京都台東区浅草橋に「鳥越アズーリFM」を、2024年7月には愛知県名古屋市に「シャチホコアズーリFM」を開局。日本全国に60局の「アズーリFM」を開局することを目標としている。
2026年11月には京都府京都市中京区、三条商店街内に第3局となる「古都アズーリFM」を開局予定。
鳥越アズーリFM公式サイト
シャチホコアズーリFM公式サイト
髙橋秀樹公式Instagram
取材日:2026年6月7日