野村淳子/すべての経験を力に。挑戦し続けたい
外資系生命保険会社の営業職である野村淳子。一見穏やかに見える彼女だが、その人生は決して平坦なものではなかった。結婚、出産、離婚、子育て、再就職、転職―。すべの経験が彼女を強くしていく。挑戦を続ける彼女の歩みを聞いた。

新しいことに挑戦したい。保険営業の道へ
――現在のお仕事について、教えてください。
外資系生命保険会社の営業です。前職では設計事務所の営業をしていました。新しいことを始めたいと考えていた矢先、保険営業職という仕事を知り、挑戦することにしたのです。
――元々営業職でいらっしゃったのですね。
はい。ただ、営業の方向性は大きく異なります。設計事務所時代はルート営業でした。一度でも取引のある会社さんへの営業ですから、ベースがあります。しかし、保険の営業は自分でルートを作るところからスタートでした。自分自身でお客様との接点をつくるところから始まるため、最初は戸惑いも大きかったです。しかし、お客様と私個人とのつながりを大切にしながらお話できる点に、面白さを感じています。
――現職に出会ったきっかけはなんだったのでしょうか?
たまたま保険営業職の方とお会いしたのがきっかけです。当時私は、設計事務所のつながりを増やしたり、情報収集したりするために異業種交流会に参加することもありました。私としては、子育てがひと段落しつつあったので、新しいことに挑戦したいと考えていたのです。そんなことを話していると「だったら、保険営業の仕事はどう?」と声をかけていただきました。
――保険営業のどこに魅力を感じましたか?
いざというときの備えとして保険をご紹介することで、お客様のお役に立てる点です。また、自分自身の努力や成果が直接評価につながる点にも魅力を感じました。もちろん、厳しさのある仕事ですが、自分で考えて行動できることに、やりがいを感じています。
デザイナー、妻、母。さまざまなライフステージを経て

――野村さんは芸術大学のご出身ですよね。
はい、芸大卒業後はデザイナーの職に就きました。当時は今ネットやクラウド環境などない時代でしたから、完成したデザインデータをCDに入れて印刷会社に納品する、という今では考えられないような作業も多かったです。入稿後に修正指示があったらもう大変でした。印刷の上から訂正シールを一晩中貼るなんてこともありましたよ。
その後、結婚と出産を機にデザインの仕事は離れ、家庭と子育てを中心とした生活を送っていました。
――その後はどうされましたか?
息子が5歳のときに離婚し、その後は仕事と子育てを両立しながら生活していくことになりました。
専業主婦からの再就職だったため、まずは仕事を見つけることからです。ご縁があって不動産管理会社に就職し、仕事をしながら、宅地建物取引士、管理業務主任者、ファイナンシャル・プランナー、簿記などの資格取得にも取り組みました。
――仕事と育児をしながらの資格取得は、さぞ大変だったでしょう。
そうですね。寝る間も惜しんで勉強に励みました。体がいくつあっても足りない、分身したいとずっと思っていましたね。それでも、少しでも仕事の幅を広げたい、将来の選択肢を増やしたいと考え努力を続けました。
現在息子も高校を卒業し、子育てについてはひとつの区切りを迎えたように感じています。なので、これからはもっと自分がやってみたいことに目を向けながら、新しいことに挑戦していきたいと思っています。
今までの経験を力に、挑戦し続ける

――現在挑戦中なのが、保険営業のお仕事ですね。仕事に対して心がけていることを教えてください。
お客様とは、意識的に「つかず離れず」を心がけています。人によって心地よい距離感は違います。「親身になります」というのも当然大事なのですが、ぐいぐい来られると身構えてしまう方も多いです。相手がどれくらいの距離で接することを望んでいるのかを考えながら、無理のない関係を築いていければと思っています。すぐにお仕事のご縁につながらない場合もありますが、焦らず、必要なときに思い出していただける存在になれればと思っています。
一度でうまく行かなくても、くよくよしません。自分のメンタルを守るのが、この仕事では重要だと思っています。
――メンタル維持のために取り組んでいることはありますか?
芸大出身ということもあり、絵画鑑賞が好きです。営業回りをしていると、個人で開かれている小さなギャラリーを見つけることがあります。営業の合間に絵画や美術品を楽しむのが、私のリフレッシュ方法です。
先日、たまたま立ち寄ったギャラリーのオーナーさんが、同じ大学のOBさんでした。そこから話が広がり、グループ展に作品を出展させてもらったのです。久しぶりに自分の作品を見ていただけて嬉しかったですね。やっぱりアートっていいな、と感じました。
――最後に、今後の展望を教えてください。
一対一でお話するのは得意なのですが、今後はもう少し幅を広げ、大勢の前でも自分の言葉でお話できるようになりたいです。その一環として小さなカフェやレンタルスペースなどで、アートとお金のことを組み合わせたワークショップやセミナーもやってみたいと考えています。アートを入口に、普段は保険や金融にあまり馴染みのない方にも、気軽にお金について考えていただけるような機会を作れたら嬉しいですね。
これまで、仕事や家庭などさまざまな経験をしてきましたが、諦めないこと、挑戦することを大事にしてきました。一つひとつの経験が、今の自分につながっていると感じています。これからも今までの経験を力に変えながら、自分らしく、新しいことに挑戦していきたいと思います。
経歴
野村淳子(のむら・じゅんこ)

1975年兵庫県生まれ。大阪府在住。外資系生命保険営業職。
大阪芸術大学卒業後、デザイナーを経て結婚。後に離婚し、シングルマザーとして息子を育てながら不動産管理会社に再就職。設計事務所への勤務を経て、2026年1月に現職の保険営業職に就く。仕事と子育ての傍ら、宅地建物取引士、管理業務主任者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、日商簿記検定2級などの資格を取得。
「楽しく仕事をする」を大切にし、人との距離感を意識したコミュニケーションが得意。これまでの経験を活かし、新しいことへ挑戦している。
取材日:2026年8月17日
写真・撮影協力:スタジオうえじ